独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
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「葵ちゃん、家まで送るね」

「ありがとうございます……!」

葵はそのまま須和の車に乗り込み、おずおずと助手席に座った。
横目で見た彼の横顔は嬉しそうに微笑んでいて、葵もつられて笑顔になる。

(幸せだなぁ。須和さんが今、目の前にいることがすごく嬉しい……)

須和はしばらく車を走らせて、赤信号で静かに停車した。

「……加瀬から聞いたんだけど、おじさん病気だったんだね」

「はい、須和さんと最後に会ってから少しして倒れたんです。
年明けから本格的に治療が始まる予定で……」

「そうだったんだね……ちなみに、なんていう病気なの?」

「脳腫瘍です。良性なんですけど、できた場所が悪くて……。
一刻も早く手術をしなくちゃいけないんですけど、医師が見つかってないんです。
だから見つかるまでの間、放射線治療でなんとか進行を遅らせる方向になっていて」

「脳腫瘍……脳神経外科か」

「はい。医師も少ないみたいなんですよね……」

「……」

須和が何かに考えを巡らせていると、信号機が青に変わった。
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