独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
エピローグ
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東京を代表する、ファッショナブルな複合タウン『ベリーヒルズビレッジ』。
常に日本の最先端を行くこの街に、この春、一つの和菓子屋が店を構えた。


「葵様、こちらに視線をお願いします!」


黒と白で統一されたモダンな店の前に、着物姿の女性が一人。
無数のフラッシュに焚かれても、彼女は動じることなくにこやかな笑顔を浮かべる。


「ご出身である東京での店舗を構えて、今のお気持ちをお聞かせください」

一人の記者からの質問に、女性は真紅の唇で弧を描いた。

「私の原点は東京ですから、大変嬉しく思っております。
日本の皆さんには、和菓子の面白みを再確認して頂けたら幸いです」

和菓子職人『須和葵』はシンガポールで初店舗『葵(あおい)』を構えると、
伝統に固執することのない革新的な和菓子を次々と発表した。

その繊細かつ斬新な商品がSNSを中心に話題を呼び、店舗を世界中に拡大。
今では世界中のトップパティシエやショコラトリーが彼女とコラボしたいと名乗りを上げている。



そんな彼女を、マスコミから離れ眺めている男が一人……。
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