独占欲に目覚めた御曹司は年下彼女に溢れる執愛を注ぎ込む
心の奥底に封印していた人の名前に、鮮明に思い出が蘇ってくる。
(せっかく思い出すことも減ってきたのに)
須和は宣言通り、あの日以来一度も店には来ていない。
一時は秘書の加瀬が店に取りに来るスタイルで商品を注文してくれていたが、
最近はそれもめっきりない。
(……でも、そうだよね。須和さんにはがきを送らないなんてのは、あるわけないんだから)
一番良くしてくれていた、常連さんなんだからーー。
葵はかすかに震える指で、須和宛のはがきを抜き取る。
「え……?」
挨拶状の下に一言手書きで何か書いてあり、葵は思わず息を呑んだ。
『葵をよろしく頼むよ、いつもありがとな』
「ちょっ、お父さん!?」