エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
『あの日の朝、おばあちゃん頭が痛いって言っていたの。いつもあまりそういう弱音を吐かない人だからおかしいなって思ったんだけど、学校に遅刻しそうで私も焦っていたから気にしてあげられなかった』
枕から顔をあげないまま、独り言のようにぼそぼそと話した。シンと静まった部屋には私の声はよく響いて、貴利くんは黙って耳を傾けてくれていた。
『病院に行ったほうがいいよって私が言えていたら、おばあちゃん助かったかもしれないよね』
あのとき私は貴利くんにどんな言葉をかけてもらいたかったんだろう。ただ話を聞いてほしかったのかもしれない。そして、何でもいいから慰めてくれる優しい言葉が欲しかった。
でも、貴利くんから返ってきたのは……。
『そんな話を今さら俺にしてどうなる』
私は枕にうずめていた顔を上げた。涙目の私と目が合うと、貴利くんの眉間に皺が寄る。
『いつまで泣いていれば気がすむ。人はいつか死ぬと決まっている。それが遅いか早いかどちらかだ』
そう聞いた瞬間、頭が真っ白になった。
でも、言葉の意味が理解できると、悲しくなって、涙がぶわっと瞳にあふれた。
私は、両手で耳を塞いで再び枕に顔をうずめた。