エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~

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 新しい年が始まり、年末年始の休館が明けた港町図書館には利用者さんが多く訪れている。

 仕事が休みの期間は暇過ぎて貴利くんのことばかり考えてしまったので、今年は本当に最悪なお正月を過ごしてしまった。母親の手作りおせちもお雑煮も喉を通らなかったし、玉蔵に初詣に誘われたけどそんな気分じゃないから断った。

 そんな風に年末年始はずっと沈んだ気分だったけれど、仕事が始まると少しずつ気持ちが上を向くようになった。
 
 大好きな仕事に集中していると気が紛れるらしい。これ以上、貴利くんのことを思って落ち込むのは嫌だから、ずっとこうして仕事をしていたくなる。

 そんなことを思いながら、カウンター業務をこなしていると、館内に見知った人物の姿を見つけた。相手も私の視線に気がついたようで、こちらに向かって歩いてくる。


「こんにちは、千菜ちゃん」

「三雲先生」


 どうして私の職場にいるのだろう。いや、ここは図書館だから誰が来てもおかしくはないけれど、ここで三雲先生を見掛けたのは初めてだ。

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