エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
それまでの俺にとって医者になることは義務のようなものだった。
実家が病院を経営していることもあり祖父も父親も医者。もっと言うと俺の母親も医者で、親戚にも医者が多いという環境で育ったから、当然のように自分も将来は医者になるのだと子供の頃から思って生きてきた。
医者になることに特別な理由や目的なんて少しもなかった。
だけど、あの日。俺は初めて医者になりたい明確な理由ができた。
千菜のために――。
俺は、専攻を脳神経外科に決めて後期研修を受けることにした。
もちろん父親には猛反対された。郡司総合病院の跡継ぎを俺ではなくて十個年下の弟にするとも言われて、俺はあと少しで郡司家から勘当されてしまうところだった。
けれど、事情を話したところ納得してもらえた。
父親は厳しいが情に厚い人間だ。千菜の祖母の死をきっかけに俺が脳神経外科医になることを決めたのだと打ち明ければ、『さすが俺の息子だ。頑張れ。応援する』と泣きながら肩をたたかれた。
もしかして、それがきっかけで父親は、俺が千菜を好きだと思い込んでいるのかもしれない。だから俺を千菜と結婚させようとしているのか……。
実家が病院を経営していることもあり祖父も父親も医者。もっと言うと俺の母親も医者で、親戚にも医者が多いという環境で育ったから、当然のように自分も将来は医者になるのだと子供の頃から思って生きてきた。
医者になることに特別な理由や目的なんて少しもなかった。
だけど、あの日。俺は初めて医者になりたい明確な理由ができた。
千菜のために――。
俺は、専攻を脳神経外科に決めて後期研修を受けることにした。
もちろん父親には猛反対された。郡司総合病院の跡継ぎを俺ではなくて十個年下の弟にするとも言われて、俺はあと少しで郡司家から勘当されてしまうところだった。
けれど、事情を話したところ納得してもらえた。
父親は厳しいが情に厚い人間だ。千菜の祖母の死をきっかけに俺が脳神経外科医になることを決めたのだと打ち明ければ、『さすが俺の息子だ。頑張れ。応援する』と泣きながら肩をたたかれた。
もしかして、それがきっかけで父親は、俺が千菜を好きだと思い込んでいるのかもしれない。だから俺を千菜と結婚させようとしているのか……。