エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 正直に言って俺は指輪とかそういう系のものに弱い。というか興味がない。

 三雲が教えてくれるのなら助かる。さっそく今度の休みにでも買いに行こう。千菜との結婚のためなのだからお金はいくらでも出すつもりだ。


「あっ、そうだ。プロポーズと言えば定番のポーズがあるんだけど知ってる?」


 なぜか三雲がにやけ顔で尋ねてくるので、俺は首を横に振る。


「いや、知らないな。そんなものがあるなら教えてくれ」

「もちろん。よく見とけよ。こうするんだ」


 三雲は立ち上がると、俺の正面へと移動してその場に片膝をついた。背筋を伸ばして、両手で持った缶コーヒーを俺に差し出す。


「この缶が指輪のケースだとするだろ。こうして彼女の前にひざまずいて、指輪の箱をぱかりとあける。そして、彼女の目をしっかりと見つめて言うんだ。俺と結婚してくださいって」


 なるほど。三雲は俺に分かりやすくジェスチャー付きでプロポーズの定番のポーズというものを教えてくれたらしい。


「男がプロポーズをするときはこうするって決まっているんだ。みんなしている」

「みんなしているのか。分かった。ありがとう三雲。さっそく実践しようかと思う」

「おお。頑張れ」


 健闘を祈ると三雲が俺の肩を軽くたたいたとき、「郡司先生」と女性の声が俺を呼んだ。

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