エリート脳外科医の溢れる愛妻渇望~独占欲全開で娶られました~
 そんな玉蔵が珍しく家にいるから不思議に思えば、久しぶりに会う私に向かって突然こう告げたのだ。


 ‟千菜。お前、来年結婚するぞ”


 どうだ嬉しいだろ。そう言わんばかりの得意気な表情を浮かべる玉蔵に、私は一瞬だけ言葉をなくした。

 ケッコン……結婚⁉

 けれど、すぐに理解すると思わず叫び声をあげてしまった。


『私が結婚ってどういうこと⁉ 勝手に決めないでよ!』


 肩に掛けていたバッグをその辺に思いきり投げ飛ばした私は慌てて玉蔵に詰め寄った。すると玉蔵はなぜか私に向かって鼻をすんすんと鳴らしている。


『おっ、千菜。なんだかお前からいい香りがするぞ。香水でもつけているのか? いつのまにか大人の色気を出しおって、パパはちょっぴり寂しいぞ』


 思わず殴りたくなった拳をぐっとこらえる。

 今はそんなことはどうでもいいから、結婚の説明をしてほしい。

 ちなみに私からするいい香りというのは、焼肉屋で煙の匂いが服についてしまったので、同僚が手持ちの香水を私にふりかけてくれたからだと思う。


『そんなことよりも結婚って?』


 ソファに座る玉蔵の隣に腰を下ろして、ただちに説明を求める。玉蔵は優雅な仕草でコーヒーを一口飲んでから口を開いた。

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