別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
初めて目にしたときの感動は、今でも鮮明に覚えている。バタークリームを絞り作られた薔薇の花びら。まるで本物のようだった。
私が好きなパステルピンクと水色と黄色の薔薇がホールケーキを彩っていて、それを私は『お姫様ケーキ』と呼んでいた。そしてその味も格別だった。スポンジ部分は甘さ控えめな生クリームで化粧されていて、その間には甘い苺と甘酸っぱいラズベリージャムがサンドされていた。
バタークリームの濃厚さとラズベリージャムの甘酸っぱさ。今思うと計算尽くされた味だ。そのケーキを作ってくれたのは、優しい笑顔が印象的な可愛らしい女性パティシエールだった。
毎年、そこのケーキ屋さんのフラワーケーキを誕生日に食べるのを楽しみにしていた幼少期。
だけど私が小学三年生になった夏、そこのケーキ屋さんが突如休業し、それからしばらくして店はなくなってしまった。
あのケーキを食べることができなくなり、悲しくて号泣した苦い記憶がある。
結局、それから一度もそのフラワーケーキを食べることはできなかったが、私はその味を追い求めて、パティシエールになる道を選んだのだった。
私が好きなパステルピンクと水色と黄色の薔薇がホールケーキを彩っていて、それを私は『お姫様ケーキ』と呼んでいた。そしてその味も格別だった。スポンジ部分は甘さ控えめな生クリームで化粧されていて、その間には甘い苺と甘酸っぱいラズベリージャムがサンドされていた。
バタークリームの濃厚さとラズベリージャムの甘酸っぱさ。今思うと計算尽くされた味だ。そのケーキを作ってくれたのは、優しい笑顔が印象的な可愛らしい女性パティシエールだった。
毎年、そこのケーキ屋さんのフラワーケーキを誕生日に食べるのを楽しみにしていた幼少期。
だけど私が小学三年生になった夏、そこのケーキ屋さんが突如休業し、それからしばらくして店はなくなってしまった。
あのケーキを食べることができなくなり、悲しくて号泣した苦い記憶がある。
結局、それから一度もそのフラワーケーキを食べることはできなかったが、私はその味を追い求めて、パティシエールになる道を選んだのだった。