別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
今ではツイッターなどを見て、私のフラワーケーキを気に入り、オーダーしてくれるお客様が増えて、毎日楽しくケーキと向き合う日々だ。同じものはまたとない。毎日が新しい発見と刺激に溢れている。

「この色、私が求めていたのはこのピンク! 辿り着けてよかった……」

誰もいなくなった作業室に私の興奮気味の声が響く。求めていた色を作り出せたときの達成感は言葉で言い表せないほどのものだ。早くこの最高のクリームでオーダーケーキを作り上げたい。そしてお客様に喜んでほしい。

受渡日に向けて私の気持ちは高揚していた。そして明後日にはまた新たなフラワーケーキのデザインを作りあげると思うと、嬉しくてニヤニヤが止まらない。好きなことを仕事にできた自分は幸せ者だと思う。

没頭しすぎて帰りがこんな夜遅くになることもしばしばだが、仕事が生き甲斐の私にとっては苦にはならない。そして、しばらくはこんな風に仕事漬けの毎日が続くのだと、このときの私はそう思っていた。
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