別れたはずの御曹司は、ママとベビーを一途に愛して離さない
「凛子さんのお子さんですか?」

「はい……」

莉奈さんがしゃがみ込み、湊斗の頭を優しく撫でた。湊斗は照れ笑いを浮かべながらペコリとお辞儀をして見せる。

「お兄ちゃんに……そっくり」

湊斗の顔を見つめていた莉奈さんがポツリとそんな言葉をつぶやいた。

ハッとした表情の莉奈さんと目が合う。そこに気が付いてほしくなかった。だけどこれだけ渚さんに似ている湊斗を見れば、そう勘づくのは致し方ないことなのかもしれない。

私は今どんな顔をしているんだろう。平静を装っていられているんだろうか。

「凛子さんあの……」

「違います。違いますから。私たちこれから行くところがあるので……失礼しますね」

とっさに私は否定する。
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