蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



お化け屋敷の教室から少し離れたところで待っていると

優羽ちゃんは青白い顔をして出てきた


「大丈夫?」


声をかけてみても
頭を左右に振るだけで声が出ない様子


それを見ながらギブアップして良かったとホッとした


「お前ら早くねぇ?」


楽し気な亜樹は優羽ちゃんの頭を撫でながら大ちゃんに声を掛けた


「蓮が無理ってギブアップした」


すぐにネタバラシしたことで


「えー、蓮ずる〜い」


優羽ちゃんが唇を尖らせた


「ごめん、ね?」


謝ってみたけれど


「亜樹もギブ出来るなら言いなさいよっ」


矛先は亜樹へ向かったようで


「俺にしがみついてたんだから
ギブしなくても大丈夫だったろ?」


嬉しそうに甘く囁く亜樹には全く効いていなかった


「琴ちゃんは?」


一番にお化け屋敷に入ったはずの琴ちゃん

先に行ってしまったのだろうか?
そう思っていると


「理樹さんから連絡入ってた
[泣いてるから連れて帰る]と」


携帯の画面を亜樹に向けた大ちゃん


それにクスッと笑った亜樹と大ちゃん

最初から連れて帰る気だったんじゃないだろうか?と頭を過ったのは強ち間違いではなさそう


「それから、永遠も保健室だって」


理樹さんが来るまでは琴ちゃんの護衛係だった永遠も

まるちぃが救護班として保健室待機だからと行ってしまったらしい


「じゃあ、四人で回るか」


優羽ちゃんと手を繋いだ亜樹に釣られて
大ちゃんと手を繋いで後へと続いた


多くの出し物を見て回ったけれど
初めのお化け屋敷が強烈過ぎて

後は落ち着いて見ることができた

そして・・・

学食で休憩になったまるちぃと永遠と合流して

屋台村を楽しんだ後は

自分達のクラスへと戻った






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