蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜





「・・・ん・・・れ、ん?」



微睡みを邪魔する大ちゃんの声に
重い目蓋をなんとか持ち上げる


「・・・・・・ん?」


間近に見えた大ちゃんは
いつもの笑顔で


「起きる?」


いつものように声をかけてくれる


でも・・・

大ちゃんの肩越しに見える窓から見えるのは夜空で


「・・・っ?」


驚いて一瞬で目が覚めた


「・・・夜?」


「そうだよ」


スッカリ寝てしまっていた

夜は皆んなでバーベキューをするのに

慌てて起きあがろうとしたけれど
全く身体に力が入らなくて


大ちゃんに視線を移せば


「ごめんね?体力残ってないよね」


罰の悪そうな顔をした


「・・・・・・っ!」


大ちゃんがシャワーを浴びた後で・・・


思い出して頬が熱くなる


『もう無理』だと言ったのに

『あと一回』を二回も繰り返した大ちゃん


思い出して更に恥ずかしくて
顔を両手で覆った


「ごめんね?」


「・・・やだ」


「でも、蓮が悪いんだよ?」


「え?」


驚いて両手を開くと


「蓮が可愛いからね」


微笑んだ大ちゃんの唇が鼻先にリップ音を立てた


「・・・っ」


敵わない・・・敵わない・・・


また両手で顔を覆って身悶えする私は


「蓮は可愛いね」


この状況を絶対悪いとは思っていない
楽しそうな大ちゃんの声で


色々を諦めた


暫くベッドの上で大ちゃんとお喋りをして

少し動けるようになってから
手を繋いでお庭へと出た


「蓮、遅ーい」
「寝てたの?」
「仲直りできた?」
「寝起きも可愛いね」


優羽ちゃん、琴ちゃん、瑛美ちゃん、まるちぃの順に
駆け寄ってきてくれた皆んなと合流して

仲直りの後でお昼寝していたことにした謎の数時間を誤魔化すことができた








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