蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


「ふぁぁ」


最近まるちぃは、よく欠伸をしている


「寝不足はお肌の敵よ?
まるちぃは六つも上なんだから
気をつけてね〜」


可愛く話しているけれど
どうも気になる優羽ちゃんのひと言に


「たっぷり寝てるんだけどね」


まるちぃは涙を拭きながら笑った


「春じゃないけど、涼しくなったから
眠たい眠たい病じゃないかな?」


・・・眠たい眠たい病?
そんな病気あるんだろうか

一番詳しそうなまるちぃに視線を向けると


「“過眠症”ってのはあるけど
そんな名前じゃないよ」
クスクス笑っている


それを見ながら優羽ちゃんは


「琴の昼寝の言い訳を病気にするんじゃないわよっ」


バッサリと切り捨てた


過眠症はあるけど眠たい眠たい病はない

浅いお喋りが続く保健室も
窓から入ってくる日差しで

過眠症じゃなくともお昼寝したくなる雰囲気


堪えていた欠伸をひとつする
手で隠しきれないそれに


「まるちぃのα波が飛んだね」


瑛美ちゃんがクスクス笑い始めて


「蓮は寝不足?」


琴ちゃんに急に振られた所為で
昨日の夜を思い浮かべた


確か・・・

大ちゃんは祖父の所へカメラを持って行ったから先に寝たんだった


「昨日は大ちゃんが出かけたから
早く寝たんだけどね」


「保健室が眠りを誘ってるのかもしれないね」


壁際のベッドを見ながら
瑛美ちゃんが言えば


「暑さを過ぎたから保健室でお昼寝会でも良いかもね〜」


同じようにベッドを見ながら
呟く優羽ちゃんに


女子会がお昼寝会に変わりそうな予感がした




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