蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



「・・・ん、蓮、起きて」



ジワリと浮上する意識
ゆっくりと重い目蓋を開くと
間近に眉を下げた大ちゃんが見えた


「・・・おはよう、?」


いつもは起こされる時は大ちゃんの腕の中なのに

どう見ても今朝の大ちゃんは制服を着てベッドサイドから覗いていて


間違いなく寝坊


「え、ごめんなさい」


「いいよ、それより。
どこか具合が悪いところとかない?」


「え?」


「普段通りに起こしたんだけど
全然起きなくて、もしかしたら具合が悪いのかと思って熱だけは測ってみたんだけどね、それは大丈夫だった」


「ううん、平気。ごめんね」


「謝らなくて良いよ」


さぁ起きてと促されて身体を起こした時には

大ちゃんも笑顔に戻っていてホッとする

過保護?いや・・・それよりもっと
大事にされていることに頬が緩む


「ん?」


ほらね?僅かな変化にも気付いてくれる大ちゃんに


「大ちゃんは優しいね」


嬉しい気持ちを込めると


「蓮以外には優しくないよ?」


やっぱり大ちゃんの特別だって
実感させてくれる

私には勿体ないくらいの彼は


「蓮は可愛い」


啄むような口付けを何度も何度もした後で


「三限には間に合うかな」


そう言ってベッドから抱き上げた


ハッとして壁の時計を見ると
短針は九時を指していた




「・・・っ」



(えーーーーーっ)脳内絶叫




















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