蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜



制服を着たお巡りさん二人は
事故の状況質問と私が意識を無くしてからの話を説明してくれた


どうやら車道に飛び出したアリサちゃんを助ける時に

走ってきた車のドアミラーと背中が打つかった事故だという


混雑する大通りのお陰で
大したスピードも出ていなくて

運転手さんが咄嗟にハンドルを切ってくれたから大事には至らなかったけれど
ドアミラーとの僅かな接触で転んでしまった結果の怪我のようだ


事故だけど、偶々その程度だったから打撲と擦過傷で済んだという


「こんな短期間で病院に二回も
私は全然オススメしませんよ」


岡部さんの心配してくれている気持ちが伝わってくる


「気付いた時には飛び出してて」


あの場合は不可抗力というか・・・


ハァとため息を吐いたあとで
岡部さんの口から出たのは


「車がスピード出してたら
蓮ちゃん死んでたのよ」


最もらしい答えだった


後先を考えなかったけれど
私になにかあれば祖父を一人にしてしまう

今回の咄嗟の判断は条件反射みたいなものだから
もう二度としないと約束できない

でも。岡部さんのお陰で
自分を大事にしなくちゃと素直に思えた


「じゃあ、蓮ちゃんに会いたい二人目ね」


そう言って扉をスライドさせて招き入れたのは


「蓮っ」
「おじいちゃん」


青い顔をした祖父だった


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