蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
「大丈夫か?痛いところはないか?」
ベッドの側まで来て頭を撫でてくれるその手が震えている
「ごめんね、おじいちゃん」
「じいちゃん、寿命が縮まったかと思ったぞ」
「ごめんね」
「無事だったから良かったけど」
眉尻がこれでもかというくらい下がっていて
おじいちゃんが泣いているようにみえる
「岡部さん、あの子を呼んでくれんか
蓮の名前を呼んでずっと泣いてるから
元気な顔を見せてやりたい」
「じゃあ、蓮ちゃんに会いたい三人目ね」
そう言って招き入れたのは
「レンちゃん、ごめ、ん、なさい」
泣き腫らした真っ赤な瞳から
ポロポロと涙が溢れ続けるアリサちゃんだった
「大丈夫、アリサちゃんはなんともない?」
アリサちゃんに質問をしたのに
泣き過ぎて答えられなさそうで
代わりに一緒に入ってきたご両親が口を開いた
「アリサは蓮さんが守ってくださったお陰で擦り傷ひとつなくて
本当になんて言ってお詫びをすれば良いか」
何度も何度も頭を下げるご両親
「アリサちゃんが大丈夫なら良かったです」
これは素直な気持ち
あんな無茶をしたのに怪我をさせたとあれば
身体を張った意味がないというか・・・
ボンヤリとそんなことを考えていると
続いてアリサちゃんの小学校の校長、教頭と校外学習の引率教員がお詫びに入ってきた