蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜

現れたのは制服を着た大ちゃんで
そのカッコ良さに見惚れてしまう


「蓮」


「・・・大、ちゃん」


「おはよう」


「おはよう、昨日はごめんね?
大ちゃんがいつ帰ったのか覚えてないの」


洗面台へと移動しながら
「ソファにどうぞ」と声をかけた


「大事なことを話してるのに
気持ちよく寝落ちしたから」


「・・・ごめんなさい」


「いいよ、何度でも言うつもりだからね」


フワリと笑った大ちゃんは
やっぱり向日葵みたいな笑顔で

釣られて笑えることを幸せに思った


「・・・え」


「どうした」


「ううん、なんでもない」


どうもしない訳がない
洗面台についている大きな鏡の中に映るのは

一重になった重たい目蓋の私


慌ててバシャバシャと水で顔を洗うけれど
そんなことで治るはずもなくて

歯磨きを済ませると
なるべく大ちゃんと顔を合わせないようにベッドに戻った


「蓮?」


「ん?」


「こっち向いて」


「・・・」


「ほら」


「・・・」


「れ〜ん?」


甘く呼ばれた時には近づいた大ちゃんに身体ごと捕らえられていて


「色々、諦めろ」


気にしている目蓋のことなんて
お見通しの大ちゃんに


「・・・んんっ」


頭の後ろに回された大きな手に捕まって
噛みつくような口付けが降ってきた


えっと・・・
色々が急に攻めてきて

パニックしかないんですけどっ






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