蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜
二人の未来


入院で潰れてしまったGWも終わったのに


大ちゃんは一日中一緒にいてくれる


「大ちゃん、学校ないの?」


って聞いてみても


「うん、ないんだよ」


と躱されるから
気になるけれど気にしないフリをするようにした


毎日続いている
リハビリも功を奏して
背中の痛みもほぼ無くなった

肘と膝は僅かに名残はあるものの
綺麗に治っていて

気持ち的にも落ち着いてきた


「蓮」


「ん?」


「親父の会社に呼ばれてるんだ
一緒に行ってみないか?」


「行ってもいいの?」


「良いに決まってる」


微笑んだ大ちゃんに釣られて笑うと
腕の中に閉じ込められた


「やっぱ外に出したくない」


「え?」


「蓮を誰にも見せたくない」


「ゔぅ・・・ごめんね?
私がもっと可愛いければ良かった?」


「クク、蓮は面白いね」


「なんで?」


「蓮より可愛い子、俺は見たことないよ」


「・・・っ」


大ちゃんはいつも『可愛い』って褒めてくれる
大ちゃん以外には此処の人達にしか言われないから
多分お世辞なんだけど

それでもやっぱり嬉しい


「大ちゃんだけだよ、ありがとう」


毎回ちゃんとお礼を言う

そうすると必ずため息を吐くの


「ハァ・・・蓮は何も分かってない」


ほらね?

分かってないのは何のことだろう?

前に考えたけれど答えなんて見つからなかったから
考えるのやめちゃった


「蓮ね?大ちゃんに可愛いって思って貰えるだけで嬉しいよ?」


素直に嬉しい気持ちを伝える


そうすると


「ハァ」


やっぱり大ちゃんはため息を吐くの


で・・・


「蓮は可愛い」


そう言うと


「・・・・・・ぁ、んんっ」


食べられちゃうかと思うようなキスが降ってくる






ひとつだけ分かったことは


大ちゃんはキス魔だってこと






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