蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


怪我が回復したら転校だと不安に思っていたことに気付いたのだろうか


大ちゃんは『予習』をしてくれると言う

怖いくらいの幸せを噛み締めたところで


「では、自分達はこれで」


「ん、あぁ」


和哉さんと青木さんは後片付けが終わると帰り支度を始めた


「え?帰るの?」


「帰らないよ、離れで休憩するだけ」


「そうなんだ」


付き人に復活した和哉さんが
大ちゃんを残して帰るはずないよね


「じゃあ蓮は此処」


大きなソファに座ってポンポンと隣を叩く大ちゃん


「うん」


近づくと大ちゃんの隣に座った


「予習はこれ」


そう言って見せてくれたのは
大ちゃんがいつも持っているタブレットで


画面には相関図のようなものが表示されていた


「あ、これ」


「そう、分かったかな?」


「うん」


近しい人達が写真付きで並んでいて
その関係性まで繋げてある


堂本組長と再婚相手の姐さん


「えっと・・・この琴ちゃんが亜樹の妹さんで、理樹さんの婚約者なの?」


「そうだよ、その話からするね」


そう始まった大ちゃんの話は

組長が胆石で入院したことから始まった

亜樹と琴ちゃんが誕生日が同じで
一時間違いだったことから
『双子』やら『番』やら言い出して
琴ちゃんを“好き”だと勘違いしたことへと面白可笑しく進んだけれど

琴ちゃんの暴行事件から
亜樹が刺されたところで息を飲んだ


「で、どうなったの?」


「亜樹は琴ちゃんを妹に戻す為に
永遠の姉さんの遥華を連れてきて」


続く話に今度は胸が詰まる


理樹さんとの和解や優羽ちゃんとのこと

理樹さんと琴ちゃんのこと

一ノ組のお話だけで恋愛ドラマ一本を見終わったような達成感だった


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