蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜





ブランチもベッドの上で



ベッドから漸く起きられたのは夕方



少し痛みの残る右耳には
大ちゃんの左耳と片方ずつ着けた黒い石のピアス


モールで買ったペアのパーカーに
ペアのチェック柄のパンツとプリーツスカート


実は靴下だってペアで


身体は怠いのにワクワクは最高潮


大ちゃんに支えられるようにソファに座っていると


「荷物積み終わりました」


青木さんから声がかかった


「ありがとう」


大ちゃんはそう言うと私をそのまま抱き上げた


「ヒャッ」


「さぁ、帰ろうかお姫様」


私の恥ずかしさなんてお構いなしに
王子様みたいなセリフを並べる大ちゃん


「・・・恥ずかしいよ」


大ちゃんの首元へ小声で文句を言うと


「蓮、可愛いよ」


オデコに口付けされる始末


クスクスと笑っているのは
きっと和哉さんで


抗議する気にもならなかった


「若、真っ直ぐ家で良いですか?」


助手席から振り返った和哉さんに


「あぁ」と答えた大ちゃん


その声で動き始めた車の振動で
少しずつ意識が微睡み始める


「少し寝ると良いよ」


「うん」


抗えない睡魔と格闘することもなく
大ちゃんの膝に乗せた頭を撫でられただけで意識を手放した




□□□




次に目を覚ますと
既に大ちゃんの部屋に戻っていて


それも


二十一時を過ぎていた



「寝すぎちゃった」


「俺が疲れさせたからね」


「・・・っ」


一人でベッドに寝ていると思っていたのに

大ちゃんはクローゼットにいたようで

私の声に反応したから凄く焦る


「どうする?お風呂に入るなら
また俺が抱いていれようか?」


「・・え、と、一人で入りたいかな」


「クク、残念」


「・・・」


また揶揄われたことに耐性もなく真っ赤になる


そうして一人で入ったバスルームで



「エーーーーーーーーーッ」


水玉模様になったかのような赤い斑点を見つけ絶叫


「蓮っ」


慌てた大ちゃんが飛び込んできて


「キャーーーーーーーー」


悲鳴を上げたことを盾に取られ


結局



「二人でお風呂って楽しいね」



強引な大ちゃんと一緒に入ることになった




ねぇ、恥ずかしいって
どうすれば伝わるか知ってる?





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