蕾の恋〜その花の蜜に溺れる〜


そのままお開きになるかと思いきや


「今度は此処で女子会」


そう言った琴ちゃんに
ガックリ肩を落とした大ちゃん一行は


「迎えに来るまで勝手に出るな」
と言い残して何処かへ行ってしまった


「じゃあ、どうぞ」


ベッドサイドの小さなテーブルを運んで
回転式の丸椅子五つ
まるちぃが振る舞ってくれたカフェオレで
なんとも華やかな女子会が始まった


「東白の先生ってね四時間目に食堂を使うことになってるの
だから永遠は毎日まるちぃと四時間目にランチなのよ」


さっきの疑問の答えが分かった


「羨ましい」


まるちぃに永遠が合わせるなんて
小さな頃を思うと想像つかない

それを話せば皆んな鳩豆顔になった


「蓮は最近のことは知らないのよね?」


「そうなんです」


「亜樹から聞いたけど男って説明下手じゃない?
サッパリ分からなかった」


自分の話はどこまで話して良いものか悩むけれど

奥の間では琴ちゃんが連れ去り事件のことまで話してくれたから

全部話そうと顔をあげた


「上手く話せるか不安ですけど
大ちゃんとのこと話しますね」


そうやって始まった大ちゃんとのこれまでに


四人は時折質問したり、怒ってくれたり忙しかったけれど
順序立てて話そうと思っていた通りに説明ができた


「ボタンの掛け違いって感じね」


まるちぃはブリックパックのカフェオレを飲みながら眉を下げた


「でも、再会がどっちも痛いって気の毒よね」


優羽ちゃんは事故の話に眉を下げた


「大和が“大ちゃん”って違和感あるんだけど
蓮だけの呼び方ってだけで特別で良いな〜」


琴ちゃんは『特別』が好きらしい


そして


「それにしても皆んな
既に婚約者が居る身って私からすれば驚嘆に値するわ」



しみじみと言う瑛美ちゃんの言葉に
なんだか皆んなでフッと笑えた


「あの・・・大ちゃんの予習に
瑛美ちゃんは入ってなくて
良かったら教えて下さい」


そう言った私に応えたのは


「それなら私がする〜」


キラッキラの笑顔で手を上げた優羽ちゃんだった









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