無名ファイル1

ー文化祭当日ー

校門には”野苺学園文化祭”と書かれた、

華やかなアーチが飾られている。

出店も賑わっていて、みんな楽しそう。

スズランテープで閉鎖された階段を、

くぐって自分のクラスの教室に向かう。

廊下には段ボールやガムテープが、

沢山散乱していて、ワクワクした。

「おはよー」

「魅香~!おはようデース!!」

エミリアは既に出店で購入したらしい、

タピオカや焼きそばを頬張っていた。

「はっや、お店もうやってるの?」

「いえ~!ツテがあるのデース!」

お一つ如何ですかと聞かれたけど、

流石に、劇の本番前に食べるのは…。

焼きそばを一つ頂いた。

「腹が減っては戦はできぬ~!!」

「はぁ…肝が据わってるわね。」

麗菜にはすっごい顔で見られた。

本番まであと少し…緊張はする…。

でも同じくらいわくわくしてる。

焼きそばが食べ終わったら、

役者のメンバーは最終読み合わせ。

「そろそろ体育館の方に移動だな。」

心なしか蛍も緊張している様だった。

ドラマとは違う…失敗しても、

カットは出来ないし誤魔化せない。

私達の一発勝負が…始まる…。
< 142 / 200 >

この作品をシェア

pagetop