無名ファイル1
ー文化祭当日ー
校門には”野苺学園文化祭”と書かれた、
華やかなアーチが飾られている。
出店も賑わっていて、みんな楽しそう。
スズランテープで閉鎖された階段を、
くぐって自分のクラスの教室に向かう。
廊下には段ボールやガムテープが、
沢山散乱していて、ワクワクした。
「おはよー」
「魅香~!おはようデース!!」
エミリアは既に出店で購入したらしい、
タピオカや焼きそばを頬張っていた。
「はっや、お店もうやってるの?」
「いえ~!ツテがあるのデース!」
お一つ如何ですかと聞かれたけど、
流石に、劇の本番前に食べるのは…。
焼きそばを一つ頂いた。
「腹が減っては戦はできぬ~!!」
「はぁ…肝が据わってるわね。」
麗菜にはすっごい顔で見られた。
本番まであと少し…緊張はする…。
でも同じくらいわくわくしてる。
焼きそばが食べ終わったら、
役者のメンバーは最終読み合わせ。
「そろそろ体育館の方に移動だな。」
心なしか蛍も緊張している様だった。
ドラマとは違う…失敗しても、
カットは出来ないし誤魔化せない。
私達の一発勝負が…始まる…。