御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
ごそごそとバッグからスマホを取り出して、私はとある人物にメールを送った。

【少しお話したいことがあります。どこに行けば会えますか?】

すると、すぐに返信があり、その人物は今、ベリーヒルズグランドホテル五十階の一室で友人とパーティー中とのことだった。

前から思ってたけど、派手好きは相変わらずね。

ベリーヒルズグランドホテルは私の会社のある建物の四十九階から五十三階を占めているVIP御用達のホテルで、ベリヒル族以外は滅多に予約を取ることができない。なぜなら、海外からの来賓客や、高いお金を払って著名人がお忍びで使うような超高級ホテルだからだ。

そんな場所に今、彼がいる。

どうせ父親のお金で遊んでいるに違いない。

洋司さんと付き合っている間は、恋は盲目という言葉通り悪いところがあっても都合のいいように解釈して気にしていなかったけれど、別れてから見える本心もあるということがようやくわかった。

有栖川家の送迎運転手がエントランスに迎えに来るのはあと一時間後。

それまでに話をつけて帰ってくればいい。

胸元には蓮さんからプレゼントされたネックレスがキラリと光っている。

大丈夫。このネックレスがあれば、なんでも乗り越えられる。

だって、蓮さんが見ていてくれる気がするから……。

スマホをバッグの中へ突っ込んで、私は化粧室のドアを勇んで開いた――。
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