御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
「ムカつく女。有栖川のボンボンが、お前みたいな貧乏人相手にするわけないだろ? いい加減目を覚ませよ」

手首を掴まれて私が顔を顰めたにも関わらず、洋司さんは爪が食い込みそうになるくらいにグッと握った。

「い、痛い! 放して!」

「このネックレスだって俺への当てつけか? こんなもの!」

「――ッ!? い、いやっ!」

ネックレスのチェーンを乱暴に掴まれたかと思うと、思い切り力任せに引っ張られる。細身のチェーンはブチリという鈍い音とともに、いとも簡単に引きちぎられ洋司さんの手に渡ってしまった。

やだ、やだ、やだ! それがないと……。

唯一私と蓮さんを繋ぐ物なのに!

「返してください!」

「いやだね、だったら俺のところへ帰って来い」

なんて子どもみたいな人なの!?

まるで勝ち誇ったような顔でうすら笑う洋司さんを睨みつける。窮地に立たされた私は唇をギュッと噛んだ。

「返して欲しかったらもう一度俺の女になるって、今ここで誓いな」

なに言ってるの……? 誓うだなんて、そんなこと!
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