御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
実家の人たちには申し訳ないけど……私、ベリヒルで贅沢してます。ごめんなさい。

パーティーに参加している人たちの話し声がチラッと聞こえたけれど、得意げに今どこどこの会社で何をやっていて、年収の話までぶっちゃけている人もいる。まるでマウンティングの取り合いみたいだ。

ここに来ている人たちとは住む世界が違うんだよね……。

「あの、ちょっといいかしら?」

自分には縁のない話だ。そんなふうに思いながらローストビーフにかじりついていると、いきなり声をかけられて噎せそうになった。

「は、い?」

顔をあげると、僅かに顔を曇らせながら不機嫌そうに眉を潜めている三十代くらいの女性が立っていた。身体の曲線美を見せつけるようなタイトなワンピースドレスの裾からは長くて綺麗な足がスラッと伸びている。

「あなた、さっき写真撮ってなかった?」

鋭さの滲むその声音に、どうやら私に対してなにか怒っているようだ。

なにかやっちゃったかな?と思うけど、写真を撮ったこと以外心当たりがない。

「撮った写真に私が写ってないか確認させて欲しいの」

「え?」

確かに撮った写真の中には参加者の姿が写りこんでいたけれど、これは後で加工するしプライバシーの保護もちゃんと心得ている。
< 12 / 123 >

この作品をシェア

pagetop