御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
※ ※ ※

それから半年後――。

私が妊娠しているとわかったのは、洋司さんのいるホテルに乗り込む前のことだった。会社の化粧室でやっぱり買ってきた妊娠検査薬で調べてみると、くっきりと陽性反応が出ていたのだ。すぐにネットで検索するとその信ぴょう性と精度は九十九パーセントらしい。正しく使えば……の話だけど、私の妊娠はほぼほぼ確定的だった。

――えっ!? 子どもが……ほんとか!?

エスケープしたあの日の夜。

妊娠したと告げたとき、蓮さんは勢い余って立ち上がり、一瞬ヘリの機体が揺れたほどだった。私の予想以上に蓮さんは喜んでくれて、うっすら目に涙を浮かべていたのを覚えている。それを見たとき、あぁ、この人と一緒になれてよかったと、改めて実感した。

「春海、ただいま」

そろそろ蓮さんが会社から帰ってくる頃だ。そう思って夕食の支度をしていたらリビングのドアが開いた。

「あ、蓮さん、おかえりなさい」

「体調はどうだ?」

「ええ、今日検診に行ってきたんですけど、順調ですって。緒方さんに送迎してもらっちゃいました」

緒方さんは私に『ひどいことをしてしまった。会わせる顔がない』と、一時は退職する話まで出たけれど、私が今までと同じように蓮さんの秘書でいて欲しいと有栖川を去ろうとする緒方さんを引き留めた。緒方さんは蓮さんのお父様に従っていただけで、決して悪い人じゃないってわかっていたから。

あのときはずいぶんお人よしだって、蓮さんに言われちゃったけどね……。

だけど、元カレの洋司さんのことはどうしても制裁を与えなければ気が済まなかったようで、元々洋司さんの店の売上が悪かったこともあり、蓮さんはテナント契約を解除すると社長である洋司さんの父親に通告したところ、洋司さんを店長から降格させることで契約解除をなんとか免れたらしい。洋司さんもベリヒル族から追放され、今はどこに住んでいるかもわからない。
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