御曹司とのかりそめ婚約事情~一夜を共にしたら、溺愛が加速しました~
取材開始早々ひと悶着あったけれど、美味しいBisの料理で満たされると満足感でいっぱいになる。

記事に書けそうなポイントは抑えたし、画像もバッチリ確保したし、後はもう少し参加してる人の雰囲気を確認したいな。

蓮さんと別れたら急にお手洗いに行きたくなってホッとひと息ついてから会場に戻った。オレンジジュースを片手にまんべんなく辺りを見渡してみると、パーティー開始から一時間ほど経過しているだろうか、参加者の人が増えた気がする。

ほんと、みんなゴージャスな感じだよね……。こんな豪華な婚活パーティーはここでしか味わえな……ん?

辺りに視線を流していると、なにやらソファーに座ってキョロキョロとしている男性に目が留まる。年齢は二十代くらい、細身でライトグレーのスーツを着た一見普通の会社員風だけど、なんとなく違和感があった。キョロキョロしているのも、最初は誰かを探しているのかと思いきや、なんか様子が変だ。

あの人、なにしてるんだろ。

そのとき、警察官である父譲りの血がぞわぞわっとして、よからぬ胸騒ぎを覚えた。ここから数十メートルは離れているけれど、視力のいい私はその男性の手がソファーに置かれた女性もののバッグにそろそろと手を伸ばしているという、どう考えても怪しい動きを捉えた。

嫌な予感がする――。
< 16 / 123 >

この作品をシェア

pagetop