極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「名前で呼んでいた。
俺は呼んでくれないのに」

彼の腕が壁につかれ、逃げられないように私を閉じ込めた。
するりと頬を撫でた手が私を上へ向かせ、無理矢理レンズの向こうと視線をあわせさせる。

「昔から、そう、呼んでいた、ので」

眼鏡の奥から私を見つめるその瞳は、まるで硝子玉みたいに、なんの感情も読み取れない。

「誰だろうと澪音は渡さない。
澪音はこの契約が終わるまでは俺の、俺だけのものだ」

眼鏡を外す彼を、ただ黙って見上げていた。
なにをするのかと思ったらいきりなり、――唇が重なる。

「……!」

顎にかかった親指が唇を開かせ、強引に舌がねじ込まれた。
押しのけようと胸を押すが、びくとも動かない。
それどころか足の間に膝を入れ、ますます私を壁に捕らえた。

「……俺は絶対に、澪音をフランスへなど行かせない」

彼が離れ、背中がずるずると壁を滑っていく。

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