極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
入ってきた裕一郎さんは、ちらっとだけ古渡さんを見た。

「できればふたりきりで話したいんだけど、よかったら外で話す?」

「かまわない。
俺が出ていくから」

それだけ言って、古渡さんはさっさとリビングを出ていった。

「えっと。
とりあえず、座りましょうか」

「そうだね」

少し微妙な空気の中、斜めに向かい合ってソファーに座る。
裕一郎さんは鞄からタブレットを出して少し操作し、私へ渡してきた。

「ここ」

見た画面にはパリの、小さなパティスリーが紹介されていた。

「知り合いの店なんだけど、いつも見習いをふたり雇ってるんだ。
でも、ひとりが辞めてね。
誰かいい人がいたら紹介してくれと言われた。
僕は澪音さえよければ、澪音を推したい」

「え……」

心臓がどくん、どくん、と大きく脈打つ。
パリのパティスリーに見習いとして推薦なんて、こんなにいい話、そうそうない。

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