極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「お世話になりました。
古渡さんによろしくお伝えください」

マンションの玄関まで見送ってくれた園原さんに伝言を頼む。
結局、昨日の夜も、今朝ですら古渡さんとは顔もあわせられなかった。
彼にとって私は、有象無象のひとりだと再確認させられるのが怖かった。

「奥様、お元気で」

「園原さんもお元気で」

涙ぐむ彼女の手を握り返し、頷いた。
スーツケースを手に、未練を振り切るように勢いよく歩きだす。
もう、ここには戻ってこない。
離婚届はもうサインを済ませて預けてある。
三月になったら出すらしい。

「そういや、奥様っていつまでたっても慣れなかったな」

なんだかおかしくてくすっ、と小さく笑いが漏れる。
きっと三月まで一緒に過ごしていたところで、慣れなかっただろうけど。

店の前で裕一郎さんと落ち合った。

「おはようございます」

仕込みのはじまった厨房へと入る。
私の後任はすぐに決まった。
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