極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
白井さんの下で働きたい人間なんてたくさんいる。

「おはよう。
いよいよ今日、出立か」

「はい。
短い間ですがお世話になりました」

私たちに気づき、白井さんが作業の手を止める。
オープンして約二ヶ月。
こんなに早く、この店を離れるなんて思ってもみなかった。

「なるべく早く、立派になって戻ってきてくれよ?
僕は澪音ちゃんにあとを任せてさっさと引退したいんだからさ」

冗談めかしてバンバンと彼が私の背中を叩く。
それが、痛いけれど嬉しい。
離婚したあとも店は私のものとして残る。
慰謝料の一部、らしい。

「頑張ってこいよ」

「はい、頑張ります」

白井さんと握手を交わし、店を出る。
大事にしていこうと古渡さんと誓った私の店。
こんな、中途半端な形で放り出すことになってごめん。

「澪音?」

じっと店を見つめたまま動かない私へ、怪訝そうに裕一郎さんが声をかける。

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