極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「はい、そうなんです。
最初は戸惑ったんですが、古渡さんの熱意に押されて」

……なーんて。
出会いからいままでの架空エピソードはすべて、打ち合わせ済みだ。

「一目惚れって、一秋さん。
あなた、どの女性にもそう言ってるじゃない」

うん、うん、とお義父さんが頷く。
どうもお義父さんは無口な方で、おしゃべりはお義母さんに任せているみたいだ。

「澪音さん、うちの息子はそういう男だけど、本当にいいのかしら?」

お義母さんの心配はもっともだ。
本人からもひとりの女性に縛られないための結婚、だって聞いているし。
しかしながら、ここは。

「はい、大丈夫です。
古渡さんは私に、結婚したいと思った人間は私ただひとりだと言ってくれましたから」

「まあ……」

にっこりといい笑顔で答えれば、私の今日の任務はほぼ終了したといっていい。

「一秋さんが、そんな。
……ねえ、あなた」

「ああ」

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