極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
一年間の仮のもなのもあるが、大学に入学して家を出てからずっと、父とは電話でしか話していないから。

仕事は年度末、三月三十一日で辞めた。

「お世話になりました、と」

三年勤めた会社だが、なんの感慨もない。
上司や同僚からも形ばかりの別れの言葉しかなかったし。
それだけ、私が地味で目立たなかったものある。
きっと明日からだって彼らは、私がいないことすら気に留めないのだろう。

仕事を辞めた余韻に浸る間もなく、翌日には古渡さんの家に引っ越しした。

「ここ、ですか」

「そうだ」

引っ越しのトラックとは別に、古渡さんご自慢の例の車で連れてこられたのはセレブの街、ベリーヒルズビレッジだった。

「俺が住んでるのはここ」

緑溢れる低層レジデンスの地下駐車場に彼が車を停める。
ずらりと並んだ車は高級外車のショールームのようだ。

エレベーターに乗り、最上階の五階で降りる。

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