極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
「俺はやっと、ただひとりの女を見つけたんです。
だからもう、ご心配はなさらないでください」

古渡さんは安心させるようにひいおばあさんの手を握っているが、これっていままでどおりの嘘なんだろうか。

「もうこれで一秋の子供の顔が見られればなにも思い残すことはないけれど、こればっかりは神様の思し召しだから……」

「そんな気弱なことを言わず、長生きなさってください。
俺も神に、早く子供を授けてくださるようにお願いしますから」

うん、うん、とひいおばあさんは頷いている。
感動的な場面ではあるけれど、他人事のように見ていた。
いや、他人事であるはずなんだけど。

そのあとは笑顔を貼り付けて、よき嫁を演じていた。
こんなとき、過去にやった婚約者のフリが役に立つ。

「じゃあ、ひいお祖母様。
また来ます」

「来てくれるのは嬉しいけれど、無理をしてくることはないからね」

少し淋しそうなひいおばあさんに見送られて病室をあとにする。
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