極上御曹司はかりそめ妻を縛りたい~契約を破ったら即離婚~
ふっ、と唇を僅かに緩ませ、彼の手が離れる。
また、キスを迫られると思っていただけに拍子抜けした。
しかし、そのわりに、心臓の鼓動がいつもよりも速い。

「覚悟しておけよ」

ドアに肘をつき、彼は窓の外を見ている。
私もだた、黙っていた。

ヒルズに戻ってきてドレスに着替えさせられ、オフィスビルにあるVIPラウンジに連れていかれた。
ここには夜な夜な、セレブたちが集っているらしい。

「古渡さんよ」

「一秋」

「かずくん」

ラウンジへ一歩、足を踏み入れた途端、それぞれの呼び名を口にしながらあっというまに彼の周りには女性が群がった。

「ご結婚なさったと聞きましたけど」

「そんなの、嘘ですよね」

「もう、私とは遊んでくださらないの?」

私と彼の間に強引に割って入り、質問攻めにしている女性たちを心の中で苦笑いしながら見ていた。
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