大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
それではお飾りの社長ということだ。
そこまで厳しい条件を突きつけるとは。


「そう、ですか。それもわかりました」


明らかに肩を落とした父だったが、敏正さんの提案を呑んだ。

そうしなければならないほど財政がひっ迫しているのかもしれない。


「それでは仕事の件は後日あらためます。郁子さんとの祝言を近いうちにと思っておりまして」

「祝言?」


驚いて思わず声が出た。

そうか。結婚となれば祝言を挙げるのか。
吉原で助けられてから怒涛の展開で、頭がついていかない。


「俺は挙げるつもりだよ。郁子の花嫁姿を見たいんだ」


敏正さんはついさっきまで鋭い目をしていたとは思えないほど、柔らかな笑みを浮かべる。


「父上。祝言の支度は津田家でさせていただいてもよろしいですか? もちろん、郁子さんの希望を叶える形にさせていただきます」

「それはそれは。どうぞよろしくお願いします」


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