大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
私の緊張をよそに祝言は粛々と進み、誓いの盃を交わす。

紋付き袴姿で貫禄を示している隣の敏正さんは、粗相をしないようにと顔がこわばる私に時々視線を合わせては微笑んでくれた。

その目から〝大丈夫〟と聞こえてくる気がして、いちいち安心したものだ。


今日の料理は、外国の方も多数いるということで西洋スタイル。

津田家お抱えの料理人ができたての厚いステーキを運んできた。

私たちはその頃立ち上がり、来てくださった参列者に挨拶をして回ることになった。

すぐうしろには一橋さんが控えていて、お相手がどんな方なのかを細かく教えてくれる。


「ドイツの駐在公使でいらっしゃいますニクラスさまです。敏正さんが大変親しくされています」


青い目をした紳士は、ドイツの代表として日本に駐在しているというとても地位のある方のようだ。

しかし敏正さんは臆する様子もなく笑顔を向け、握手を求めた。


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