大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「郁子らしいなと思って。軟派な男たちに誘われただけで、浮気じゃないわ。郁子は女学生の頃から美しいもの。目立つのよ」

「富子のほうがきれいよ? 私はおてんばだもの」

「おてんばは否定しないわ」


白い歯を見せる富子は「行きましょう」と私を誘って歩きだした。


たくさんの商店を見て回り、富子は気に入った化粧品を購入したものの、私は特に欲しいものもなく千歳で大福を買っただけ。

しかし、家にいるばかりで退屈している私は、こうして銀座をぶらぶらするだけでも刺激的で気持ちが高ぶる。


「ね、ドーナツ食べましょう」
「いいわね」


富子の提案に賛成し、早速カフェーに足を運んだ。

さっきの男がいたら嫌だなと思ったけれど、どこにも姿はなく、窓際の席に座ってコーヒーとドーナツを注文したあとおしゃべりの開始だ。


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