大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「だから、郁子がいつか俺に心を許し、本物の夫婦になれたらそのときはと思っていた。だが、郁子の胸の内などわからず、安易に触れたら嫌われるのではないかと怖かった」


私は彼の腕の中で首を横に振る。

私はずっと……。ずっとあなたをお慕いしているのに。


「それが、郁子を苦しめているとは知らず……」
「私は……。私は、敏正さんをお慕いしております」


彼の腕に力がこもり、私は広い胸に頬をつけてしがみつく。


「政略結婚という申し出があったとき、たしかにそれではお金で買われるようだと感じてあのような言葉を口にしてしまいました。でもそれは、もうすでに敏正さんに心惹かれていたからです」


だから、政略結婚というのがつらかった。

そもそも、子爵家に生まれたからには父の連れてきた相手と契りを結ぶ覚悟はあった。

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