大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「もう一杯」
「い、いえっ」


拒否したのに三度も繰り返される。
少し面白がっている様子だ。


「ん……」
「どうだ? この酒は飲めるだろう?」


味もなにもわからない。
ただ、恥ずかしさでいっぱいだった。


「俺のためにこれを選んでくれたのがうれしい。実にいい気分だ」


春江さんが言った通りだわ。

楽しそうに微笑む彼は、唖然としている私を膝に抱いたまま、今度は自分もお酒を口に運ぶ。

たしかに、敏正さんの喜ぶ顔を思い浮かべながら念入りに選んでは来たけれど、これほど笑顔を見せてもらえるとは思わなかった。


「それに……。三谷商店のこれからにつながるかもしれないぞ?」

「どういうことですか?」


さっぱり話が読めない。


「食べながら話すか」


彼はようやく解放してくれた。

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