大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
以前ひと口いただいたものの、むせてしまった。
「あのときのものより甘口だぞ。こっちに来てごらん」
どうして?
不思議に思いながらも彼の隣に座り直す。
すると「ここだ」とあぐらをかいた膝をトントン叩かれて首をひねる。
「ここ、と申しますと?」
「だから、ここだ」
「キャッ」
唐突に体を引き寄せられて彼の膝の上に座らせられたので、息が止まりそうだ。
「春江はもう帰ったんだろう?」
「そ、そうですが……」
「ははは。酒も入っていないのに耳が真っ赤だ」
敏正さんが私の耳朶を甘噛みするので、全身が火照ってしまう。
「ほら、飲んでみなさい」
「い、いえっ、私は……」
お酒どころではない。
とてつもなく速まった鼓動がどうしたら収まるのかわからない。
「それでは、こうしよう」
彼はお酒を一気にあおり、それから私に口づけをして流し込んでくる。