大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
日本の綿糸の輸出量がこれほど膨大なのは、その品質のよさゆえと、会社でもよく耳にする。


「はい。日本人は勤勉で、どんどん商品を改良していくと海外の方から絶賛されているとお聞きしました」

「そう。たとえばこのガラス細工。明治の初めにイギリスの職人から技術を学んでから、どんどん品質が向上してきた」


それも知っているとは、さすがは博識だ。


「西洋から入った文化も、日本で洗練されると、逆に欲しいと言われる商品になる。試しに津田の工場で紡いだ糸を、峰岸織物で洋服用の反物に加工して輸出したところ、すこぶる評判がいい」


今日のシャツも肌触りは抜群だし、張りもあって素晴らしい逸品だった。


「そこで、反物だけでなく着物も輸出しようという話になっている。ただ洋服を着る文化圏にはそのままでは受け入れられにくいから、着物の反物を使ったガウンという室内での羽織ものにする予定だ」

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