大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「ガウン、ですか」


私にはピンとこないが、日本の技術が世界に広まるなんて心が躍る。


「手刺繍の人気がかなり高くて、必ず売れると踏んでいる。その輸出を三谷商店にやってもらう」


とてもいい話だけれど、商売のイロハもわからぬ父にできるのだろうか。


「でも、父がまただめにしてしまったら……」


津田紡績に損害が出ては申し訳ない。


「父上には社長として君臨していただくが、俺が指揮を執るつもりだ。津田の副社長の一ノ瀬さんも注力してくださる算段になっている」

「そうでしたか。よろしくお願いします」


それなら安心だわ。

父よりずっと若い敏正さんのほうが信頼できるなんて変だけど、彼は幼少の頃から経済や商業を学び、お父さまの手腕を目の当たりにしてきている。

父より有能なのは間違いない。


「この江戸切子もいいね。一度見本を輸出してみて反応を探ろう」

「本当ですか?」

< 261 / 338 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop