大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「あぁ、なかなかいい目の付け所だと思う」


以前、輸出できないかとちらりと考えたこともあったが、まさか実現するとは。


それから、敏正さんにお酌をしながら食事を食べ進めた。


「郁子、もう少し飲まないか?」


どうやら江戸切子を気に入った様子の敏正さんは、食後もせがむ。


「承知しました。お酒、追加してまいりますね」


膳を片付けて風呂の準備をしたあと徳利に酒を注いで戻ると、彼に手招きされた。


「郁子はここ」
「い、いえっ」


再び膝に乗るように促されて、首を激しく横に振る。


「今さら恥ずかしがるな。夫の命令だ」


命令なんて強い言葉を発しているくせして、目が笑っている。


「ですが……」
「疲れてるんだ。郁子で癒されたい。なあ、いいだろ?」


いつもは毅然としている敏正さんに突然甘えられて、鼓動が勢いを増す。

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