大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
しかも、お酒が入っているからか、目が少し潤んでいて妙に艶っぽい。


「は、はい」


おそるおそる近づいていくと、腕を引かれてあっという間に捕まった。


「酌をしてくれ」
「はい」


腰を抱かれたまま、ぐい呑みにお酒を注ぐ。
彼はすぐに口に運び飲み干してしまう。

浴衣の襟元からのぞく大きな喉ぼとけが上下に動く様子を見て、視線を宙に舞わせた。

彼が男性であることを過剰に意識してしまったからだ。


「あぁ、うまい。郁子に注がれた酒は格別だ」


彼は私の頭を引き寄せ、自分の肩に寄りかからせる。


「郁子ももう一口どうだ?」
「は、はい。それではいただきます」


先ほどは味わう余裕もなかったので、今度はぐい呑みを預かり口に含む。


「うまいか?」
「はい」
「嘘つけ。ここにシワが寄っている」


彼は私の眉間に唇を落とす。


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