大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「う、嘘じゃないです。ですが、たくさんは無理そうです」
「そうだな。もう顔が真っ赤だ」


顔が真っ赤なのは、あなたとの距離が近いせいよ。


「でも、もう一口飲ませたい」


彼は先ほどのように口移しで私にお酒を飲ませる。

うまく口に入らずこぼれてしまったお酒が首筋を伝うと、それを目ざとく見つけた敏正さんは舌を這わせて舐めた。


「ん……」
「いい声を出すようになった」
「ち、違います」


恥ずかしい指摘に反論の声を大きくすれば、彼はおかしそうに肩を震わせる。


「そんなにムキになって。かわいいなあ、郁子は」


今日はいつもより饒舌なのは気のせいだろうか。
彼のためにぐい呑みを選んだのが、それほどうれしかったの?


「郁子。風呂はいいのか?」
「あっ、湯加減を見てまいります」


立ち上がって風呂場に向かったものの、体が自分のものではないようにふわふわする。

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