大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
そもそもこれほど大きな事業になるとは父も思ってはいなかっただろうし、それに見合う手腕もない。

津田紡績が引っ張ってくれても、失敗するのではないかという心配が絶えなかった。



その晩、敏正さんが帰宅したのは二十二時。
もうとっくに春江さんには帰ってもらっている。


「お疲れさまでした」


珍しくぐったりした様子の彼を出迎え、鞄を受け取る。


「ただいま。腹が減ったな」


彼は私に笑顔を作ってみせたが、いつもと様子が違うのにすぐに気づいた。

二階に着替えに行く彼に続きながら声をかける。


「随分お疲れですね」
「あぁ、少し問題が発生してね。急遽方向転換することになったんだ」


なんの問題? 

おそらく彼は今、三谷商事の仕事ばかりしているはずだ。
ということは、三谷の?


「あっ、あのっ……」

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