大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
「心配いらない。丸の内三谷ビルヂングは予定通り落成式をして、正式に三谷商事としての一歩が始まる」


それなのに、どうして表情が沈んでいるの?

きっと他の人が見てもわからない程度の違いだろうが、毎日彼に寄り添っていたら、いつもと違うことくらいわかる。

妙な胸騒ぎがするのに、敏正さんが心配いらないと言うので尋ねられない。

聞かないでほしいと一線を引かれているような気がしたのだ。


仕事の話は家ではあまりしない彼だけど、三谷関係の重要な話は逐次耳に入れてくれていた。
それはおそらく私が心配しているとわかっているからだ。

それなのに、教えてもらえないのはどうして?

いや、彼を信じると決めたのだ。
予定通り進むと話しているのだからうなずくだけ。


「そうでしたか。丸の内のビルヂングの件に関しては、本当になんとお礼を言ったらいいのかわかりません」

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