大正蜜恋政略結婚【元号旦那様シリーズ大正編】
私は仕事が休みで、夕方、二階の部屋で敏正さんの浴衣のほころびを直していた。


「郁子さま。お客さまです」


お客さま?

春江さんに呼ばれて慌てて出ていく。

私を訪ねてくるのは一橋さんくらいしかいないのだけど、それなら一橋さんと教えられるだろうに。

不思議に思いながら玄関に出ていくと、袴姿の泰子がいたので驚いた。


「泰子! どうしたの?」


ここの住所は伝えてあったので、学校が終わってから訪ねてきてくれたのだろう。


「郁子さま、入っていただいてくださいな。カステラがございますから」

「春江さん、ありがとう。お願いするわ。泰子、どうぞ」


私は泰子を客間に通した。

いつもは元気いっぱいの彼女が、伏し目がちであまり口を開かないのがとても気になる。


「学校の帰りかしら?」
「うん」


そのとき、障子が開いて、春江さんがお茶とカステラを持ってきてくれた。


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